小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

続・狂二 波濤編35

「みんな 雨合羽の用意はいいかぁ」サヤカが空を見上げ、タケ島へ帰る学童を並ばせている時だった。屋根付き渡り廊下の影から 男が飛び出した。片手で用務員の首を巻きつけにじり寄って来た。「おい 船 わしらも乗せてくれるか」用務員の顔は蒼白になり 額に…

続・狂二 波濤編34

雑木林の小道を15分ほど駆け降りると、ようやく学校の校庭が見えた。奥に見える校舎の廊下で 何人かの生徒らが立ち話をしている姿も見受けられた。今のところ特に変わった事はなさそうである。学校の裏門横。しゃがみ込み、息を整えた情報屋の佐々木淳一は…

続・狂二 波濤編33

JR姫路駅 駅前 貸しコインロッカー前に着いた ヒロシは さりげなく周囲を見渡す。 平日で通勤時間帯から外れた午前10時半という 中途半端な時間が幸いした。 強くなりだした雨脚に、タマの人々もヒロシの背中を早足で通り過ぎる。 組長から預かった キー…

続・狂二 波濤編32

姫路市総合病院 緊急処置室の扉の前にいつしか姫路署の刑事たちが集まっていた。家島諸島マツ島の駐在所に於いて、爆破事故発生、それに伴い巡査部長負傷・・・との消防本部救急車からの無線連絡が入っていたのだ緊急処置室のベッドに寝かされ、点滴の針を腕…