小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

続・狂二 波濤編39

中庭側に出た佐々木淳一。雨に濡れそぼった雑草に足をとられるのを注意しながら、桜の木陰に移動した。頭上でカサッ と音がした。桜もすっかり散り果て、今や葉桜になった桜の大木に小鳥が雨宿りしていた。思わぬ闖入者 佐々木に驚いて、飛び立った。不気味…

続・狂二 波濤編38

マツ島神社を目指して歩きだしたヒロシだが、荒れ模様の空を見上げた。“例のブツ”や着替えが入ったボストンバッグ、それに着慣れないスーツを考えた。先に予約をしておいた民宿に向かう事にした。「早く着替えを済ませ身軽になりたいのぅ」確認の電話をすべ…

続・狂二 波濤編37

姫路署捜査一課 加納課長は 姫路市総合病院 緊急処置室で再び 担当医の島野に入室を制止させられた。「患者の意識が いま一つ安定しない様です もうしばらく外でお待ち頂けませんか?」ベッドの上で、田中巡査は その声を聞きながら一安心しながらも、若干の…

続・狂二 波濤編36

一つの波を超えるたび 船内は大きく傾いた。フェリーをたたきつける風の音はますます激しくなっていた。今の所 雨は小止みだが、いつ滝のような雨粒が叩きつけても不思議ではない空だった。僅か30分の船旅だったが “ヒロシ”は 何時間も船に揺られた気がし…