小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2011-02-05から1日間の記事一覧

狂二 Ⅲ 断崖編 その6

浩二に背中を向けたまま、多美恵はまんじりともせず、 苦しそうな息遣いに耳をそばだてていた。 カーテンの隙間から少し覗く空はまだ闇に包まれている。 6時にセットした目覚ましには 時間があるようだ。 直ぐにも振り返り、声をかけてやりたい衝動に駆られ…