小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

狂二 Ⅲ 断崖編 その17

「ナイフを返してもらおう」 男が再び言った。 「こんなモノ・・・」 浩二は右手でナイフをしっかり握り締め、わざと頭上高くかざした。 「お前等、夜中に不法侵入し、桟橋で何を運んでいた。 一体どこの国の、何者なんだ」 男の正面に向き直り、両手を腰に…

狂二 Ⅲ 断崖編 その16

2010 3月30日 AM7:58 8時前になると、殆どの従業員が出勤し始めた。 始業時間は8時半だが、白浜の朝は早い。 「聞いてほしい事がある。まだ事件とも事故とも不明なのだが・・・」 栗原は事情を説明し、手分けして構内を捜しだす様依頼した。 …

狂二 Ⅲ 断崖編 その15

2010年3月30日AM7時10分 冷え込みはあったものの、空には雲ひとつなく青く澄み渡ってい た。 袖をめくり、時を確認した白浜冷凍従業員栗原健一は いつも通りの朝が始まる。たとえ社長が変わったとしても・・・ そう思った。いやそう自分に言い聞…

狂二 Ⅲ 断崖編 その14

「よしっ、よくぞやった」 浩二の倒れ込みを見届けると、リーダーが 歩み寄ってきた。 しかし、リーダーには無視するがの如く、 三人の会話が盛り上がった。 「二人の加勢がなければ、危うい処だった」 「必殺のムエタイキック。ここにありってとこだな」 「…

狂二 Ⅲ 断崖編 その13

(やはり・・・か) 2010・4・4作戦を任された3号・・・ 29号が、倒された瞬間、 ここにやってくる前、ビルの一室での予感が的中したと、蒼ざめた。 中国拳法の達人な29号・・・ いくら長身とは云え、 数時間前にはフラフラの状態だった従業員に…