小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

狂二 Ⅲ 断崖編 その21

「すんまへん。おそらくですが・・・紀伊田辺のチームの子で・・」 紀伊田辺バイク用品ショップ「ロードパーク」の店主が喋りだしたその時、 栗原の携帯が震えた。 ! 大将だ。 坂本鉄也 元白浜冷凍社長の名がディスプレイに光っていた。 どやしつけられる・…

「清貧の思想」こそ日本経済をダメにしたのではないか

先日 紀伊国屋で 清貧の思想 の文庫本を見た。 おー 懐かしや と手に取りかけたのだが、 よくよく考えたならば、 この本のヒットと 日本経済の右肩下がりは、同時期ではなかったか? との ”恨みつらみ”が拙者の脳内が グルンぐる駆け巡り、コンくそ! と 手…

狂二 Ⅲ 断崖編 その20

飯を喰べながら、今までの経緯を簡単に栗原は説明した。 「しかしまぁ、あの若さで新社長とは」 「お宅の所長も、君とうちの新社長とは面識ある、云ってたけど、 そんなに親しい間柄だったのか」 (まさか河本新社長も元同業なのか・・・) 「知ってるも何も…

狂二 Ⅲ 断崖編 その19

2010年3月30日 午前9時55分 白浜冷凍に戻ると、経理の沢田が電話を握りしめ、 青ざめた顔で、ペコペコと何度もお辞儀をしていた。 栗原と目が合うと、地獄で仏に出会ったかのように表情がほころんだ。 「あ、ただ今、戻って参りました・・・ 栗原…

狂二 Ⅲ 断崖編 その18

「おい、結構あるぜ」 先に崖を登っていた男が呼んだ。 少し登ったところは、 ちょっとした平地になっており草木が生い茂っていた。 平地の手前は土が盛り上がっており、潮含みの風を避けられたのだろう。 「まさか水・・」 痛む左足を引きずりながら、浩二…