小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2012-02-04から1日間の記事一覧

ミモザの咲く頃に  その5

次の角を曲がると石坂家が見える。そう思うと胸が高鳴った。 高鳴りの原因は初めて習うピアノへの不安がほとんどだったけれど、一方でどこか期待する気持ちもあった。 ビルの谷間に建つ瀟洒な邸宅は静かに客人を待っているかの様子で、その空間だけが都会の…