小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ミモザの花が散ったあとに 21

出勤前の鬱々とした気分。あれは一体何だったと言うのか。あれこれ悩み、悶々としながら日々を暮らしたここ数カ月のことが、急に虚しく思えた。たった一度きりの人生、これからは前だけを見て生きようと思った。もちろん、これからも障害物に突き当たったり…

ミモザの花が散ったあとに 20

まさか中沢課長は階段をかけ登って来たのだろうか。少し息を弾ませている。目が合いそうになるのを避けるように頭を下げ「わざわざすみません。」と詫びた。「え、まあ。はぁはぁ」「長いあいだ勝手しました。本当に申し訳ありません」中沢は前髪をかきあげ…