小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2014-01-01から1年間の記事一覧

ミモザの花が散ったあとに 6

なにやら篠原さんの呼ぶ声がし、振り返ってみると常に閉じられていた寝室側のカーテンだったが、すっかり全開。少し遠く、通天閣の先っちょ部分が見えた。篠原さんは、窓を開け「寒ぅない?」と訊き「こないな時間に部屋に居るんは、一週間ぶりやから空気を…

ミモザの花が散ったあとに 5

大阪市の地図で云えば、中心部(本町あたり)から南西の方角に車を走らせ、たとえゆっくりな速度だとしても20分とかからない。さらに5分も走れば大阪湾に突き当たる。篠原芳美さんのマンションはそういう場所にあった。リビング側の窓からは、建設中の大…

ミモザの花が散ったあとに 4

会話も途切れ、ふたりともテレビに集中している時だった。篠原さんはテレビの画面に向かったまま何ごとかつぶやいた。丁度テレビの音声とかぶってしまい聞き取れず「え?」と云うと僕の方を振り向き「しかし、かなり呑んだのやね、あそこまで呑むて、いった…

ミモザの花が散ったあとに 3

隣の部屋からの、シチューの匂いと野菜か何かをきざむ音で目覚めていた。ザクザク。トン、トトトン。鍋のフタを閉じる音。フライパンの水や油が弾ける音。そして食欲を刺激するこの匂い。。。腹が小さく鳴った。。。こういうなにげない生活の音と匂いにこそ…

ミモザの花が散ったあとに 2

漆黒のベンツは急停止し、しかもわざわざ、横までバックさせて来た。運転席から男が降りた。思わず周囲を見渡す。雨の深夜とはいえ、さすがにミナミの繁華街。遠巻きにこちらの様子を伺う何人かの通行人が居た。(人前でまさか素人に手、出せへんやろ)とい…

ミモザの花が散ったあとに 1

なにやら女の悲鳴が聞こえた。それは、うっとか、はぁっとかのほんの一瞬。すぐ間近に聞こえた気がし、はっと目覚めたのだった。部屋は闇につつまれ何も見えなかった。もう一度耳を澄ましてみたもののやはり何も聞こえない。はて・・・?いつもの布団ではな…

位置に着いて、ヨーイ

ドンっ! でわずか十秒足らずで決着のつく男子陸上百のドラマ。 そんなので一年間も引っ張るなんて出来るわけない。せいぜい三ヶ月で完結かも と思いながらスタートさせた(狂二4)シリーズ。。。 いやはや 年末ぎりぎりまで 掛かってしまいました。 それと …

いやはや 佐高信さん

この本(自分を売る男、猪瀬直樹)佐高信 著 七つ森書館なんと二年前の十二月が初版。 いやはや ずっと前から猪瀬直樹の正体か看破されていたのですなぁ。 畏れ入谷の何とかで。 中はといえば、 次から次へと まーこれだけ奴の悪口言えるモノだと 笑ってしま…