小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

狂二 22

最初にして 最後の前回までの あらすじ・・・

人から狂二と呼ばれ、恐れられていたコージは、ある夏の夜 絡んで来たグループのリーダーをたった一撃で倒す。が、そのリーダーは狂二が勤める冷蔵冷凍倉庫会社が所属するグループ会社“田嶋総業”の社長の息子、竜一だった。白浜の関連会社で拳法の修行を終えた竜一は 大阪へ帰ってくる。が狂二との再会以上の驚きが二人を襲う。なんと機関銃片手の国籍不明の完全武装テロリストが狂二らの倉庫会社に乱入して来たのだった
「おい 相手の動きとか、こっそり監視出来る様な場所ないか」
「今 案内しよう思てた」小声で狂二が言いながら 裏口へのドアを案内する。
「ひゃ~ サブー(寒)」11月とは言え 深夜の冷気が緊張でほてった二人の顔を突く。
「この階段、とりあえず上や、足音立てないよう 靴 脱いで・・」さびの浮き出た金属の階段が直(じか)に足裏を刺激する。
「うっ、冷たー」
「しっ、声も、音もたてるな」
とりあえず 相手の出方を探り、反撃の糸口を探るべく裏口から抜け出した二人はクツを脱ぎ、非常階段を上り、屋上へ出た。
「ぐわー ここから見える夜景、最高やの」
360度のパノラマが広がっていた。大阪湾の向こうには神戸の街灯り。反対側は大阪市内のネオンが星の様に煌めいている。
「感動は奴らを倒してからや、若ボン」
「本気で倒すつもりか、で その若ボンての、やめてくれ 俺竜一、で、お前の名前は?」
「コウジ。さんずいの告げるに二つ。」
「浩二か」
「ここの社長とかは本名で呼ぶけど皆からは狂二で通っている。狂犬のキョウ。。。」
「はは、そっちのほうがピッタシカンカン」

屋上から目を凝らす。国籍不明・総勢30人程の乱入者らは 5、6名ずつのグループに分かれ、お目当ての“荷物”を探すかのごとく、それぞれに付いたリーダの指示の元、動いていた。
「好都合かもな、少人数ずつのグループに分かれてる・・」
「どこから銃弾が飛んでくるか判らんから一概には言えん・・」
その時 冷蔵倉庫棟のグループを観察していた狂二が「あッ!」と声を上げる。
「どうした」
「俺 あいつと以前逢ったことある・・・テコンドー使いや」 狂二の指差す方向を竜一も眼を凝らす。
「暗くてわからん、お前の目はフクロウか」
「いや、体格とか、足の動きとか、身のこなし方でな。 顔まで見えないけど、間違いない」
「テコンドーかぁ。。銃さえ、使わせなかったら何とかなるのにな」狂二のつぶやきを聞いて竜一の顔に笑みが浮かぶ。
「おいッ それや! あの冷蔵冷凍倉庫内は マイナス何度や?」
「今の設定は 4~50度。。。それが?」
「指先が凍って、引き金もおそらく満足にいかんて・・・」
「あッ なるほど! 流石(さすが)現役大学生は違う。。が、防寒ジャンパー事務所ロッカーの中や。。。別グループが見張ってる・・・」
「はは、白浜では短時間なら Tシャツ一枚でも平気やった」
「なら、安心した。俺もや。。。あとで 熱出すなよ ボン」
「お前こそな、熱出しても 誰も看病してくる人、居らんみたいやから。。」「るせッ・・・・」狂二はフイに 多美恵の顔が浮かんだ。。
『多美恵さん・・・せっかくの携帯・・・』 心の中で そっと詫びる・・で 浮かんだ顔を振り払うがごとく
「じゃ、ひと暴れすッかぁ・・・・」大阪湾に向かって 大きく しっかり 叫んでいた。

     衝撃の最終章へ つづく・・・・