小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

続・狂二 波濤編 9

「ちょっ、いらん事言うから、怒らせたやん」
ゴンのわき腹を突きながら、口をとがらせる。
 が、すぐさま相手の人数を数え、“ナリ”とか観察する余裕があった。
『5・6・・8人かぁ。ケド、ガラは悪いがドコとなく都会的なひ弱さを漂わせている・・・あれ? ウチ結構冷静やん。。。』
 
 それはゴンの2メーター近い人並み外れた体格やら筋肉の盛り上がり。イザと言うときの鋭い視線・・・
改めて見てみると 他を圧倒する雰囲気を全身から漂わせている“ゴン”の背中に守られている事から来る
余裕だったのかも知れない。



が 空を見上げ、雲の様子を観察した。
 当分“雷”の心配は要らないほど 晴れ渡っている。
 数日前 秀じぃとの会話を思い出していた

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 「こやつ 雷にヒドク怯えてなぁ。音よりもむしろ稲光に過剰に反応しよる、記憶喪失の原因と何か繋がりがあるやも・・」
「あはッ 今時カミナリが怖いやなんて、可愛いとこあるやん」
「茶化すな 本人はさぞやツラかろうに・・・」

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・・・の時 相手のリーダー格の拳がいきなりゴンめがけ飛んで来た。

 ヒョイッ と かわし 光の速さで 右コブシが相手のわき腹を突き上げる。

 うグッ・・・と たった一発でヒザから崩れ落ちるその男。

「あー何するんじゃ おいッ」
叫びながら 左右に居た男たちが ゴンに掴みかかる。

くわッ! と真上に跳躍するゴンの両足は 簡単に180度に開脚し、
スニーカーのつま先が 二人の男の胸を蹴り上げる。

着地と同時に、すばやく前方に空中一回転。

回転から振り下ろされたゴンの右足つま先が 
右前方の男の肩を
左足つま先は 
左前方に居た男の肩を
同時に直撃・・・

 あっさり崩れる ふたり。。。

この間 おそらく1分も掛かっているか、否かの、凄ワザだった。

「それで おまえら まだ 用があるんか?」
後ずさりし、怯える残りの3人に向かって、冷静な声が響く。

「あ、トンデモないですぅ、元々用は なかったので。。。」

「じゃ、先行くわ、急所は外してあるから その内 目覚めるやろ。念のため 介抱したれよ」
言いながらスタスタ歩くゴン

「は、ハイッ す、すんません。。。。」

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想像を遥かに超えた 凄さ だった。

呆然と立ちすくむ サヤカ

フト 我に返り 「ちょッとぉー 待ってよ」
慌てて背中を追った。


  これが後に起こる トンデモ出来事の 幕開けだったかもしれない。。


           つづく