小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

そして、池上線86 (最終回 後編)

「じつは彼女もその店で待ち合わせてあるんです」 胸がどきりと鳴った。 「画廊よりも、じっくりお話が出来るやろ。そう思いまして」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「えークルマて、あれかいな」 西崎が素っ頓狂な…

そして、池上線85 (最終回・前編)

じゃあ、そろそろ降りる支度を。と先ほどから何やらスマホに打ち込んでいた上田かずみ氏をみれば、まだスマホの画面と格闘中だった。ちらりと見ると文字でびっしり埋め尽くされてある。 「あのぅそろそろ」と起ち上がると 「あはい。」と笑顔を向け、慌てて…

ついに、やって(言って)もた

二年前からスタートさせた、そして、池上線 だけど、昨日の84で 最終回につづく って言ってしまいました。 いやはや、振り返れば、今回ほど長く苦しかった連載は久々で、 と言うのも、次なる文章が【全然降りて来ず】非常に焦りまくりの連続でした。 そも…

そして、池上線84

9時ちょうど東京駅発、のぞみ213号新大阪行きは、さすがに土曜日と言うこともあり行楽客たちで賑わっていた。ひとり紺色スーツとビジネスバッグで完全に浮いていた。 久しぶりの出張。。。(家族には初恋相手との再会が目的の旅行なんて言える筈もなく、…

そして、池上線83

「何もわかって無いんですね部長・・・」 「は?」 しばらく三好菜穂子は下を向き黙って居たが、ぱッと近づくや私の胸に飛び込んできた。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ え。。。。 ふんわりとした香りが鼻腔をくす…