小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

狂二 19

築港冷凍倉庫裏の岸壁に接岸するや、坂本社長は手馴れたロープワークでクルーザーを係留した。 胸ポケットから携帯を取り出し、中岡社長を呼び出す。「・・・・・・・・・・・・・・・」「ん?おかしいな」深夜になるかもだが、竜一を送り届け、その後中岡社…

狂二 18

大阪湾の波間に 木屑やら発泡スチロールのかけらが揺らめき、静かに漂っていた。 確か、夜中だと言うのに 雲間から覗いた太陽の光が沖を照らしている。 その沖の遥か彼方を泳ぐ 狂二の背中が見えた。どこまで泳ぐと言うの・・・もう冬なのに・・・・・・・・…

狂二 17

11月の声を聞き 古庄多美恵は15日の狂二の誕生日プレゼントを買うべく 携帯ショップに足を運んだ。「へー 11月15日が誕生日なの?龍馬の命日やん」「そんなに、あれなんかな オカンもその日に生んだ事を、ことの他喜んでいた・・・」誕生日を聞き出…

狂二 16

「中岡君 彼と二人だけで話がしたい、いいかね?」「二人だけ・・・と申しましても。。。常務」中岡は言葉を選びながら詰まった。どことなく困惑が現れていた。「コージも バイトとは居え、ウチにとって必要な戦力ですので・・」苦渋の表情でつぶやく中岡社…