小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

そして、池上線56

(第三部 終章) きょう一杯は、穏やかな晴天が続くでしょう。明日からの関東地方は西から近づく低気圧の影響で。。。 天気予報を途中で消した女房が 「日曜、雨だって」と呟いた。 ベランダを覗くと、窓の向こうには突き抜ける青空が広がっていた。 「あ、…

そして、池上線55

いくつかのカーブも過ぎ、比較的平坦な道に出ると<京丹後市庁舎別館400メートル>の標識が見え始める。 そして、ようやく482号のルート表示が現れた。 なるほど。。。今まで気づきもしなかった。“いわく”があったとは。。。。 「知ってます?国道482号の…

そして、池上線54

「明日、予定を早めて昼前にします。新幹線。。。」 と呟くように云った。 とっさ的に身体が反応した。 馬渕の腕を引き寄せ、 「お願い、帰らないで。。。。」 と言った。 どこか遠くで聞こえたようにも思えたが 紛れもなく私の声だった。 ・・・・・・・・…

そして、池上線53

「今なんと?」 「ここへ引っ越し」 「え」 それから、しばらく無言で、お互いを見つめ合い、 話す言葉を探した。 だが 「あはは。じょ、冗談ですよ」と馬渕は眼を逸らした。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「冗談に…

そして、池上線52

得体の知れない、何か胸を揺さぶるものが沸々と込み上げてくるのだった。 絶景の、そして静かに岩に砕ける日本海の波、風、夕日。。。 それら全体が織りなす男と女。奇跡の運命の瞬間。。。 いや、始まりだったのかも知れない。 ・・・・・・・・・・・・・…