小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

そして、池上線51

すすり泣くようなファドのBGMがより心を揺さぶった。 瞼が熱くなり、こらえても涙がひとしずく流れ始めた。 「もっと泣いてもええよ」 そう馬渕が言っているような声が聞こえ、 気づけばとうとう堰を切ったダムのように泣き出していた。 ・・・・・・・・・…

そして、池上線50

突き抜ける晴天の青空に、日本海は、真っ青に光り輝いて居た。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 全長1800メートルにも及ぶこの浜は、まったく何も無い砂浜だった。 ゴミひとつすら。 「うわあ、ものの見事に、何も無…

そして、池上線49

そう簡単に人生が歩むならどれほど良い? いや、どれほどつまらない人生? 「松浦社長。彼への想いを断ち切るチャンスでもありましたけどね」 「は、はあ!?」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 馬渕ほど分かり易い人種…

そして、池上線48

「松浦では慰安旅行の代わりに日帰りであちこちレジャーに出かけてましたの。そこで出会ったのが陶芸教室。。。」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「ほーう、たまに見かける1日体験、ってあれですか?」 馬渕は意外そ…