小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

そして、池上線30

森島の携帯が振動した。 あ、先生からです。 「今、芝公園駅改札出たとこらしいです」 「な、なんとまぁ。。。。」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「ごめん、来ちゃった」 「やあ・・・ま、とりあえず中へ」 「…

そして、池上線29

「西崎、こっち来れないかなぁ。」 馬渕探偵事務所からの報告を、西崎も呼んで一緒に見ないか。 森島に提案すると 「うわーそれ。最高」 はしゃぐように言うや、携帯を取り出した。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

そして、池上線28

「これて、逆も真なりですよね」 「ほーう。例えば?」 「どえらい時を過ぎたなら、やがては幸福が。。。て」 きっぱり言い切るや、涙で光った瞳で私を見つめた。 あ。この瞳。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 西崎とも代の代理。。。あ、い…

そして、池上線27

「ぜ~んぜん。あ、それよりミドリ、そっちに向かわせたから」 「は!?」 「彼女の消息らしきもの、なにか確認したいことがあるそうなの」 「え、なぜ彼女が」 「馬渕事務所からの電話、あなたの携帯に通じないらしいけど、まさか拒否してない?」 「あ!」…

そして、池上線26

その日は、そこいらの女優にも引けを取らない完璧メークだった。 なぜかその顔が、より寂しく、哀しげにも感じられた。 「佐伯くん」 「は、はい」 「私、キミより一回りも歳上。結婚5年目なの」 「は、はあ!?」 ――――――――――――――――――――――――――――――― 残暑の…