小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

そして、池上線38

ショップ店長、雪乃からの携帯が入ったのは窯出し作業を終えて、 学生らとくつろぎのお茶を囲んでる時だった。 今回も正解だった。学生とは言え、陶芸部だけに器の扱い方など見事なものだ。 「ども、先ほど終わったとこ」 「お疲れさまでした。出品作の方、…

そして、池上線37

(そして、池上線 第二部) 窯場の天井近くにぶら下げたトランジスタラジオのスピーカーからは、 昨夜、熊本地方で起きた地震を伝えるニュースがひっきりなしに流れている。 だが夜を通し窯を見守り続けた吉岡紫織(よしおかしおり)にとって、 気になりつつ…

そして、池上線36

何もかもが、すべて哀しいです そう言ったきり森島は泣き崩れた。 「ほ、ほれっ、佐伯社長ッ。お願い。あ、あんたからも。。。」 「う、うん。。。」 初恋に浸るどころか、過去の自責の念と、酒の酔いとが相まって ついつい声を荒げ・・・と、言うより西崎と…

そして、池上線35

「ミドリ。何が素敵なもんか。男てやっぱ鈍感やわ、よー見ときなさい」と言った。 すると森島までもが 「そうですね先生」と言った。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「ちょっとえぇか、佐伯ぃッ」 酔いがすっ…