小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧

続・狂二 波濤編71 最終回

「秀よ、あ、あれ・・・・」 ウメ島の山中に埋められていた プルトニウムをやっとの思いで 掘り出した長谷川が沖合いを指差した。 「あーん どうした」 200kgの塊を縛り付けた二本のロープ、一方を引いている 秀じぃは それどころやないけん と言いた…

続・狂二 波濤編70 最終章後編その九

原油タンカー・・・黒々とした島影にも似た 巨体は咆哮を挙げ目標物(ウメ島)に向かって波飛沫を上げた。船長が タンカーの進行方向を変えようと何度か試みたが、その都度、左右を取り囲んだテロリストらに、顔面や体を殴られた。「あ、止めろ」ゴン、ヒロ…

続・狂二 波濤編69 最終章後編その八

ハウス内のテロ兵士ら全員を気絶させたあと、佐々木の指示で凶器類 無線など全部押収 一箇所に集めた。「残るは 上、ブリッジ(操舵室)だけや」言うなりヒロシが派手な音を立て階段を駆け昇りだした。「まっ、待て」慌てて佐々木が制した。4、5段目のとこ…

続・狂二 波濤編68 最終章後編その七

持参した小説本 くぎりのよい章を読み終えると、多美恵は枕もとの電気スタンドに手を掛けた。横からは 思春期真っ只中、いかにも健康的な少女本来の寝息がようやく聞こえてきた。彼女の まだあどけなさの残る寝顔を見つめながら 「ゴンや秀じぃらが帰って来…

続・狂二 波濤編67 最終章後編その六

ハウス内は空調も効き先程までの、船底特有の轟音や体に纏わり付く熱気、湿気も無縁で、 快適な風が流れていた。奥に見える部屋に貼り付けられた“食堂”と書かれたプレートが“なごみ”を感じさせた。が いきなり厳しい現実に引き戻される・・・武装のテロリス…