小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

狂二 20

じゃあ、留守を頼む・・・そういい残す、坂本社長を二人して見送った直ぐだった。
振り向きざま竜一の前蹴りが狂二の腹にめり込む

ぐはッ。。下腹を押さえながら、後ずさりをする。
「ちょ、ちょい 待てや、若ボン・・」
「誰が若ボンや、会いたかったぜ」言いながらさらに蹴りを見せる竜一
「もう直ぐ 大型が積み込みに来る時間や」
「大型?」
「あぁ大型トラック、運ちゃんに見られたらマズイやろ。。それが終わってからじっくりと・・」
言いながら、狂二はほぼ4ヶ月ぶりに見る竜一をまじまじと観察した。 
結構ヘビー級な体格だった筈だが、かなりスリムになっている。がその分“蹴り”や、“突き”の動きに適した身体つきになったと言える。
顔つきも精悍さが滲み出ていた。油断したとは言え、先ほどの“蹴り”はかなりの速さがあった。
「はは・・見違えたやん すっかりスリムになって。。」
「るせー お前のお蔭でな、アゴをやられ、一ヶ月はまともに飯を食えなかったぜ」言い終わると同時に 回し蹴りが飛んできた。

 がしッ 
寸前で停める狂二の左腕が軋む・・・ かなり強烈だった。
『いつの間に・・・』
「だからさ・・もう直ぐ大型の。。」 言い終ると同時だった。タイミング良くバックの警告音を鳴らしながら大型トラックが構内に入って来た。
「くそっ。荷物はどれや 一緒に積んだら早よ済む」
「リフトは運転出来るのか」
「ああ、白浜でみっちりや」

・・・・・・・・・・・・・・・・競い合うように荷物を積み込んだお陰で いつもの半分以下の短時間で済む。
「サンキュー 今夜は新入り君のお陰で早く終わった」これで缶コーヒーでも買いな。
500円硬貨を狂二に放り投げながら 運転手が去って行った。

「さすが未来の社長、荷物を担ぐ姿 サマになっていたやん」
「るせー、しかし貴様まさか此処の社員とはな どこの狂犬かと思ったぜあん時・・・」
 二人して汗をぬぐいながら しばし休息の為 倉庫前の自動販売機まで並んで歩く。。。
 “グシャッ”「そろそろ始めっか」コーヒのスチール缶を一瞬でヒネリ潰しなが
ら狂二が立ち上がったその時だった。

[ヴアアアアーン!!]
倉庫の裏門から何やら破裂する音が響く・・・

「お、おい 次は何の番や」

「し、知らん・・・」ちょっと見て来る。

「逃げる気か?俺も行く」
 二人して裏門に向かおうとした時だった。同時に声を失う・・・・

 裏門をバックで突破した艶消しグリーンの大型ダンプカー。
その荷台からは 迷彩柄の戦闘服姿がゾロゾロ降りて来るのが見えた。誰もが機関銃らしきモノを手にしていた。
  
その数 ・・・後日判明した事だが なんと30人は居たのである。        

           つづく