小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

狂二 Ⅲ 断崖編 その37

2010年4月1日 午後2時40分 普段なら喧噪を知らない田園地帯の向こうに、バイクの轟音が響いた。 「やっと来たみたいですわ」 ヒロシが腰を上げた。 道路側まで歩み、手を上げバイク集団に合図する。 「こりゃまた大勢で」 栗原がバイクを数えた。 …

この本、やばい!

先週末、某テレビ局では さながら(アンフェア祭)状態だった。ちなみに レギュラー放映の時は一度も観た事がないけど、特別版とか、劇場版とか見ると その面白さに すっかりハマってしまい、ついに原作本に手を出す羽目に。読み始めたばかりなのだが、面白…

狂二 Ⅲ 断崖編 その36

2010年4月1日 午後2時 顔馴染みになったコンビニに立ち寄り、3人分の弁当と茶を買った佐々木と栗原は ヒロシの待つガレージに急いだ。 だが着いてみると、ヒロシは広げたシートの上で農作業の格好をした夫婦らと車座になり、おにぎりを頬張っていた…

狂二 Ⅲ 断崖編 その35

2010年4月1日 午後1時30分 「プレタ・ジュテ人材サービス」パート従業員、陳麗花(24歳)は、 喫煙室をそれとなく観察していた。担当部署の電話交換の席から見渡せる場所に都合よくあった。 ようやく営業の藤田と、近沢が出て来るのを確認すると…

狂二 Ⅲ 断崖編 その34

2010年4月1日 午後1時すぎ 浩二は、耳の片隅で聞こえたバイク音の方向を頼りに、山を下った。 山から湧き出た清流は蛇行しているのか、一端遠ざかっていた筈なのに、再び川べりに出た。 バイク音の方向は、この先、清流からいよいよ離れてしまう。 最…