小説の杜

旧 kazami-k 小説の杜から越して来ました

2009-01-01から1年間の記事一覧

続・狂二 波濤編41

民宿“はせ川”の 女将 長谷川千代は 笑顔でヒロシを迎えてくれた。「あれまあ、お客さん 海 相当荒れたでしょう。ようお越し」「少し早いが、あいにくの天気や。着替えと 荷物を置かせてもらいに来た」「へえへえ、どうぞどうぞ かましまへん」「女将さん な…

続・狂二 波濤編40

雨は小止みになっているものの、風は相変わらず強い。当然、小型漁船を改造しただけの 通学船も波に揉まれ、木の葉のごとく、揺れた。「姉ちゃん・・・」同じタケ島に住む 小学生らがサヤカにしがみついて来た。 よろず屋、彦さんちの近所に住む子らだ。「大…

続・狂二 波濤編39

中庭側に出た佐々木淳一。雨に濡れそぼった雑草に足をとられるのを注意しながら、桜の木陰に移動した。頭上でカサッ と音がした。桜もすっかり散り果て、今や葉桜になった桜の大木に小鳥が雨宿りしていた。思わぬ闖入者 佐々木に驚いて、飛び立った。不気味…

続・狂二 波濤編38

マツ島神社を目指して歩きだしたヒロシだが、荒れ模様の空を見上げた。“例のブツ”や着替えが入ったボストンバッグ、それに着慣れないスーツを考えた。先に予約をしておいた民宿に向かう事にした。「早く着替えを済ませ身軽になりたいのぅ」確認の電話をすべ…

続・狂二 波濤編37

姫路署捜査一課 加納課長は 姫路市総合病院 緊急処置室で再び 担当医の島野に入室を制止させられた。「患者の意識が いま一つ安定しない様です もうしばらく外でお待ち頂けませんか?」ベッドの上で、田中巡査は その声を聞きながら一安心しながらも、若干の…

続・狂二 波濤編36

一つの波を超えるたび 船内は大きく傾いた。フェリーをたたきつける風の音はますます激しくなっていた。今の所 雨は小止みだが、いつ滝のような雨粒が叩きつけても不思議ではない空だった。僅か30分の船旅だったが “ヒロシ”は 何時間も船に揺られた気がし…

続・狂二 波濤編35

「みんな 雨合羽の用意はいいかぁ」サヤカが空を見上げ、タケ島へ帰る学童を並ばせている時だった。屋根付き渡り廊下の影から 男が飛び出した。片手で用務員の首を巻きつけにじり寄って来た。「おい 船 わしらも乗せてくれるか」用務員の顔は蒼白になり 額に…

続・狂二 波濤編34

雑木林の小道を15分ほど駆け降りると、ようやく学校の校庭が見えた。奥に見える校舎の廊下で 何人かの生徒らが立ち話をしている姿も見受けられた。今のところ特に変わった事はなさそうである。学校の裏門横。しゃがみ込み、息を整えた情報屋の佐々木淳一は…

続・狂二 波濤編33

JR姫路駅 駅前 貸しコインロッカー前に着いた ヒロシは さりげなく周囲を見渡す。 平日で通勤時間帯から外れた午前10時半という 中途半端な時間が幸いした。 強くなりだした雨脚に、タマの人々もヒロシの背中を早足で通り過ぎる。 組長から預かった キー…

続・狂二 波濤編32

姫路市総合病院 緊急処置室の扉の前にいつしか姫路署の刑事たちが集まっていた。家島諸島マツ島の駐在所に於いて、爆破事故発生、それに伴い巡査部長負傷・・・との消防本部救急車からの無線連絡が入っていたのだ緊急処置室のベッドに寝かされ、点滴の針を腕…